物理層・プロトコル
13.56MHzのRF物理層。EMVCo L1 は Analog(物理・電気/無線)と Digital(プロトコル符号化)の両方を含みます。信号チェーンの入口。




この層で何を検証するか
EMVCo Level 1 は Analog(物理・電気/無線)と Digital(プロトコル符号化)の両方を含みます。どちらを確かめたいかで、必要な機材と治具が変わります。
| 確かめたいこと | 試験の種類 | 該当製品 |
|---|---|---|
| 磁界強度・変調指数・波形・負荷変調振幅・タイミング | Analog | EMVCo L1 適合スイート/ProxiLAB Quest |
| フレーム・状態遷移・アンチコリジョン・RATS/ATS・FDT | Digital | EMVCo L1 適合スイート |
| NFC Forum の Poller/Listener 双方向の適合 | Analog/Digital/LLCP/SNEP | NFC Forum スイート |
| 実通信のトレース・波形からの原因解析 | 解析(適合試験ではない) | ProxiSPY Quest/NomadLAB |
規格ごとに層構造が異なります
「L1」という言葉が指す範囲は、規格団体によって違います。対象規格を先に確定しないと、必要なスイートと治具が決まりません。
| 規格 | この層に含まれるもの |
|---|---|
| EMVCo Contactless | Analog と Digital の両方。版数は端末側 v3.2a/カード側 v3.2b と分かれます |
| NFC Forum | Analog/Digital Protocol/LLCP/SNEP。Poller と Listener の双方向 |
| ISO/IEC 10373-6(近接)/-7(近傍) | ISO/IEC 14443 と 15693 に対する試験方法。受入基準は参照先の規格側に規定 |
版数は改訂されます。たとえば ISO/IEC 10373-6 は2025年に Edition 5 が発行され、PICC 送信試験方法の修正などが入りました(変更点の解説)。適用版は見積時に固定します。
DUT の反対側に「基準環境」が要ります
この層の試験は、被試験機器だけでは成立しません。PICC を試験するときは PCD 側の基準環境を、PCD を試験するときは PICC 側の基準環境を使います。基準アンテナ・アセンブリ・Reference PICC は付属品ではなく、結合条件・物理位置・信号品質・再現性を規定する試験構成要素です(基準アンテナ・治具)。
位置の網羅は人手では再現できません
EMVCo は動作ボリューム全域での位置網羅を求めます。手でカードを動かすと、位置のばらつきがそのまま結果のばらつきになります。位置決めロボットは掃引を自動化し、EMVCo の加速度制約(8 m/s² 超)を満たします。保護ケージなしで導入する場合は、機械指令 2006/42/EC に準拠した安全環境へ組み込む必要があります。
適合試験と認証取得は別の工程です
この層のツールで行うのは適合試験であり、認証そのものではありません。正式な Type Approval は認定試験ラボが実施し、Letter of Approval は EMVCo または各 Payment System が発行します(認定試験ラボ)。開発段階で認定ラボと同系統の試験基盤を使うほど、試験条件の差は小さくなります。
